2010.07.22
マルタン・マルジェラというコンセプト
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池辺 肇
Hajime Ikebe
マルタン・マルジェラ、洋服好きなら誰もが知るそのデザイナーは、1980年代後期、彗星のごとく現れました。ベースにしっかりとした服作りの基本がありながら、彼の作る洋服には、まず第一に何かしらのコンセプトがありました。ビックシルエット、古着を使ったリメイク、古い織機を使い昔の雰囲気を再現したニットなど、彼の作り出す洋服は多くの人を魅了しました。当時、デザイナーのプレゼンテーションはランウェイショーが主流でしたが、マルジェラは各シーズンのテーマに応じて、様々なプレゼンテーション(洋服だけを展示する方法とランウェイショーのちょうど中間に位置づけられるような)方法を提示しました。
マルタン・マルジェラが多くの人を魅了したのは、彼の作る洋服だけでなく、まさに彼の作り出したマルタン・マルジェラという世界観、コンセプトによるところが大きかったのではないでしょうか。メディアに顔を出さないという匿名性は、彼のデザイナーとしての神秘性を高め、当初、お金が無いところから仕方なくはじめた、4つの糸束で止めただけのタグは逆にブランド自体のアイコンとなりました。
数々の伝説を作ったこの偉大なデザイナーは数年前、静かにファッションの世界から身を引きました。現在のメゾン マルタン・マルジェラにマルジェラがいないのは周知の事実であり、デザインチームが彼の意思を引き継ぎ、製作にあたっています。デザイナーの交代や引退の多くは、そのブランドのイメージをいい意味でも、悪い意味でも変えてしまいます。
「それでも我々はなぜマルタン・マルジェラを買うのか?」
答えは
「まだ、そこに素敵な洋服があるから」
です。マルタン・マルジェラの作り出した、マルタン・マルジェラというコンセプトはシーズン毎に大きな進歩、変革を遂げることはないにせよ、脈々と受け継がれている、そんな気がしています。
マルジェラというと、個人的にはニットが好きなアイテムなのですが、今シーズンのゴム編みのグレーのマフラーは、マルジェラらしくてとても気に入りました。また、昨今クラッチバッグが人気ですが、羊革を使ったムートン(?)バッグもマルジェラらしいなと感じました。眠たくなったら、そのままお昼寝用の枕にも使えそうなキュートなバッグです。大人の男性にちょっとした洒落の感覚で持ってもらいたい、ツイードのスーツに合わせたりするといいかもしれません。取り扱いの商品は少し減りましたが、その代わり、よりマルジェラらしい商品を厳選してセレクトしています。
ぜひ、店頭でご覧ください。
イケベ
